有線LANとは?Wi-Fiとどう使い分ける?
家庭のネットワークではWi-Fiが広く使われていますが、パソコン、ゲーム機、テレビ、NASなど設置場所が固定されている機器では有線LANも重要な選択肢です。
有線LANはLANケーブルを使って機器同士を接続するため、Wi-Fiのように壁や距離、周囲の無線環境の影響を受けにくい特徴があります。
スマートフォンやタブレットはWi-Fi、デスクトップPCやNASは有線LANというように、用途に応じて組み合わせることで家庭内ネットワークを構築しやすくなります。
1GbE・2.5GbE・5GbE・10GbEとは?
有線LAN機器では、1GbE、2.5GbE、5GbE、10GbEといった表記があります。これはEthernet接続で扱う通信速度のクラスを示します。
1GbEは最大1Gbps、2.5GbEは最大2.5Gbps、5GbEは最大5Gbps、10GbEは最大10Gbpsの通信を想定した規格です。
ただし、これらはリンク速度の規格上の値であり、実際のファイル転送速度やインターネット速度がその数値になることを保証するものではありません。
機器の処理性能、ストレージ速度、プロトコルのオーバーヘッド、回線速度などによって実効速度は変わります。
2.5GbEはどんな人に向いている?
2.5GbEは、従来の1GbEより高速なネットワークを比較的導入しやすい選択肢です。
2Gbps以上のインターネット回線を利用している場合や、NASとPCの間で大きなファイルを転送する場合などにメリットを得られる可能性があります。
Wi-Fi 6EやWi-Fi 7対応ルーターでは、2.5GbE以上のWAN/LANポートを搭載する製品もあります。
ただしルーターだけ2.5GbEにしても、PCやスイッチングハブなどが1GbEなら、その区間がボトルネックになります。
10GbEはどんな環境で役立つ?
10GbEは、大容量データを頻繁に扱う家庭やオフィス、NAS・サーバーなどを利用する環境で検討されます。
動画編集データ、写真、バックアップなど大容量ファイルをネットワーク経由で転送する場合は、1GbEより高速なLAN環境によって作業時間を短縮できる可能性があります。
また10Gbpsクラスのインターネット回線を利用する場合にも、対応ルーターやPCなどを組み合わせることで高速な通信環境を構築できます。
一方、Web閲覧や一般的な動画視聴が中心なら、10GbEを導入しても体感差が小さい場合があります。用途と費用のバランスを考えましょう。
高速LANは「一番遅い部分」がボトルネックになる
2.5GbEや10GbE環境を構築するときに重要なのが、ネットワーク経路全体を確認することです。
例えば10GbE対応PCと10GbE対応NASを用意しても、その間に1GbEのスイッチングハブが入っていれば、その区間は1GbEが制約になります。
ルーター → スイッチングハブ → LANケーブル → PC・NASのように、通信経路を順番に確認しましょう。
インターネット通信の場合は、これに契約回線、ONU・ホームゲートウェイ、WANポートなども関係します。
Wi-Fi 7と2.5GbE・10GbEの関係
Wi-Fi 7など高速な無線LAN規格では、無線側の性能だけでなく有線側の速度も重要になります。
高性能なWi-Fiルーターでも、インターネット回線やWAN/LANポートが1Gbpsクラスであれば、その経路が通信速度の制約になることがあります。
そのためWi-Fi 7ルーターを比較するときは、無線の最大通信速度だけでなく、2.5GbE・10GbEなどのマルチギガビットポートをどこに何ポート搭載しているかも確認しましょう。
NASやPCとの高速な家庭内通信を目的とする場合は、LAN側のマルチギガビット対応が特に重要です。
スイッチングハブを選ぶポイント
有線LANで複数の機器を接続したい場合は、スイッチングハブを使ってLANポートを増やすことができます。
高速ネットワークを構築する場合は、ポート数だけでなく対応速度を確認しましょう。
例えばPCとNASを2.5GbEで接続したい場合は、通信経路にあるハブも2.5GbE対応である必要があります。
製品によって、全ポートが同じ速度に対応するものや、一部ポートだけ高速なものなど構成が異なります。必要なポート数と速度を確認して選びましょう。
PCを2.5GbE・10GbE対応にする方法
パソコンのLANポートが1GbEまでの場合でも、機種や接続端子によってはネットワークアダプターを追加して高速化できる場合があります。
デスクトップPCではPCI Express接続のLANカード、ノートPCではUSBやThunderboltなどを利用するLANアダプターが候補になります。
ただし接続インターフェース側の速度が不足していると、LANアダプターの性能を十分に生かせない場合があります。
購入時はLAN側の速度だけでなく、PCとの接続方式と対応速度も確認しましょう。
NASを高速化するときに確認すること
NASは写真・動画・バックアップなどを複数の端末から利用できる便利なネットワークストレージです。
大容量データを頻繁に転送する場合、2.5GbEや10GbE対応NASを利用することで転送時間を短縮できる可能性があります。
ただしNASの実効速度はLANポートだけで決まるわけではありません。搭載ドライブ、RAID構成、CPU、ファイルサイズ、接続するPCなども関係します。
高速化する場合はNASだけでなく、スイッチングハブやPC、LANケーブルを含めて確認しましょう。
LANケーブルは何を使えばいい?
有線LANの速度を上げる場合は、利用するEthernet規格と配線距離に適したLANケーブルを使用します。
家庭ではCat5e・Cat6・Cat6Aなどが広く使われています。特に10GbEを長距離で利用する場合は、Cat6Aなど対応する規格を検討します。
カテゴリー表記が大きければ必ず通信が速くなるわけではありません。接続機器のポート速度やケーブル長、施工環境を含めて選ぶことが重要です。
壁内配線など交換しにくい場所では、将来の高速化も考えて配線を検討するとよいでしょう。
インターネット速度と家庭内LAN速度は分けて考える
「10GbEにしたらインターネットが10Gbpsになる」とは限りません。
インターネット速度は契約回線やプロバイダー、接続先などの影響を受けます。一方、家庭内LANではPCとNASなど同じネットワーク内の機器同士で高速通信を行える場合があります。
例えばインターネット回線が1Gbpsでも、PCとNASを10GbEで接続すれば、家庭内でのファイル転送には10GbE環境を活用できる可能性があります。
インターネットを高速化したいのか、家庭内のデータ転送を高速化したいのかを分けて考えることが重要です。
2.5GbE・10GbE導入前のチェックリスト
- 契約しているインターネット回線の速度
- ONU・ホームゲートウェイのポート速度
- Wi-FiルーターのWAN/LANポート速度
- スイッチングハブの対応速度とポート数
- PC・NAS・ゲーム機など接続機器のLAN速度
- LANケーブルのカテゴリーと配線距離
- PCで利用するLANアダプターの接続方式
- 高速化したいのがインターネットなのか家庭内LANなのか
すべてを一度に10GbE化する必要はありません。必要な区間から2.5GbEなどへ段階的に高速化する方法もあります。
まとめ|有線LANはルーターから端末まで経路全体で考える
1GbE・2.5GbE・5GbE・10GbEは、家庭内ネットワークを考えるうえで重要な有線LANの速度規格です。
高速化する場合はルーターだけでなく、ONU、スイッチングハブ、LANケーブル、PC、NASなど通信経路全体を確認しましょう。
一般的な用途なら1GbEで十分な場合もあり、NASや高速回線を活用するなら2.5GbE・10GbEが役立つ場合があります。
必要な場所だけ有線LANを高速化し、スマートフォンなどはWi-Fiを利用するなど、用途に合わせて組み合わせるのが現実的です。
このページは有線LAN・マルチギガビットネットワークの共通知識として、Wi-Fiルーター、LANケーブル、スイッチングハブ、NASなどの記事から利用できるよう更新していきます。
