インターネット回線とWi-Fiは同じものではない
「Wi-Fiが遅い」と感じたとき、Wi-Fiルーターだけが原因とは限りません。家庭のインターネット環境は、インターネット回線・ONUなどの回線終端装置・ルーター・Wi-Fi・接続端末といった複数の要素で構成されています。
Wi-Fiは、スマートフォンやパソコンなどを無線で家庭内ネットワークへ接続するための仕組みです。その先に光回線などのインターネット回線があります。
そのため、高性能なWi-Fiルーターを購入しても、回線側や有線LAN側にボトルネックがあれば、インターネット速度が期待ほど向上しない場合があります。
ONU・モデム・ルーターは何が違う?
家庭のネットワーク機器には似たような箱型の機器が並ぶため、役割が分かりにくいことがあります。
ONU(Optical Network Unit)は、光回線で使われる光信号と宅内ネットワークで扱う信号を変換するための機器です。
モデムも回線と家庭内機器を接続するための装置ですが、利用する回線方式によって機器の種類や名称が異なります。
ルーターは家庭内の複数機器をネットワークへ接続し、通信経路を制御する役割を持ちます。Wi-Fi機能を搭載した家庭向けルーターが一般的に「Wi-Fiルーター」「無線LANルーター」と呼ばれています。
回線事業者から提供される機器によっては、ONU・ルーター・Wi-Fiなど複数の機能が一体化している場合もあります。
IPv4とIPv6とは?
インターネットでは、通信相手を識別するためにIPアドレスが使われます。代表的な仕組みがIPv4(Internet Protocol Version 4)とIPv6(Internet Protocol Version 6)です。
IPv6は、IPv4より非常に大きなアドレス空間を持つ新しい世代のインターネットプロトコルです。
ただし「IPv6対応」と書かれているだけで、必ずインターネットが高速になるという意味ではありません。実際の通信方式や契約している回線サービス、プロバイダー、ルーターの対応状況なども関係します。
PPPoEとIPoEの違い
光回線を利用していると、PPPoEやIPoEという言葉を目にすることがあります。
PPPoEは従来から広く利用されてきた接続方式です。一方、IPoEはIPv6ネットワークなどで利用される接続方式で、サービスやネットワーク構成によっては混雑の影響を受けにくい通信環境を利用できる場合があります。
また、IPv4のWebサイトやサービスへアクセスするために、IPv4 over IPv6と呼ばれる仕組みを利用するサービスもあります。
対応方式や名称は回線事業者・プロバイダーによって異なるため、契約サービスとWi-Fiルーターの対応状況をセットで確認することが重要です。
IPv6対応ルーターを選ぶときの注意点
「IPv6対応」と表示されているルーターでも、利用したい回線サービスの接続方式に対応しているかを確認する必要があります。
特にIPv4 over IPv6サービスでは、事業者ごとに利用する方式や対応条件が異なる場合があります。
ルーター購入前には、メーカーの対応回線・対応サービス情報と、契約しているインターネット回線・プロバイダーの案内を確認しましょう。
回線側からルーター機能付き機器が提供されている場合は、市販Wi-Fiルーターを追加するときの接続モードにも注意が必要です。
ルーターモード・APモード・ブリッジモードとは?
市販のWi-Fiルーターには、ルーターモードのほか、AP(アクセスポイント)モードやブリッジモードなどが用意されている場合があります。
すでに回線事業者の機器がルーターとして動作している環境へ、さらに市販ルーターをルーターモードで接続すると、意図せずルーター機能が重複する場合があります。
そのような環境では、市販機をアクセスポイントとして利用する構成が適していることがあります。
ただし名称や設定方法はメーカー・製品によって異なるため、取扱説明書やメーカーの接続ガイドを確認してください。
Wi-Fiのセキュリティ規格|WPA2・WPA3とは
Wi-Fiでは、第三者に通信を不正利用されにくくするため暗号化・認証の仕組みが利用されています。
現在のWi-Fi機器ではWPA2や、より新しいWPA3などが利用されています。
ルーターと端末の両方がWPA3に対応している場合は、対応するセキュリティ設定を利用できます。一方、古い機器との互換性が必要な環境では、製品によって移行用の設定などが用意されている場合があります。
古い暗号化方式を安易に利用せず、使用している端末との互換性を確認しながら、メーカーが推奨する安全性の高い設定を利用しましょう。
Wi-Fiパスワードは初期設定のままで大丈夫?
Wi-Fiのネットワーク名(SSID)や暗号化キーは、製品ごとに初期設定されている場合があります。
メーカーが機器ごとに十分にランダムな認証情報を設定している場合もありますが、管理画面のパスワードなどを含め、製品のセキュリティガイドに従って設定を確認することが重要です。
自分でパスワードを設定する場合は、推測されやすい単語、電話番号、誕生日などを避け、十分な長さと複雑さを持たせましょう。
また、Wi-Fiの接続パスワードとルーター管理画面のログイン情報は役割が異なります。それぞれ適切に管理してください。
ルーターのファームウェア更新は重要
Wi-Fiルーターもパソコンやスマートフォンと同じようにソフトウェアで動作しており、その基本ソフトウェアがファームウェアです。
メーカーから機能改善や不具合修正、セキュリティ対策を含む更新が提供される場合があります。
自動更新機能を搭載している製品では設定を確認し、自動更新に対応していない場合はメーカーのサポート情報を定期的に確認するとよいでしょう。
長期間サポートされなくなった古いルーターを使い続けている場合は、性能だけでなくセキュリティ面から買い替えを検討する理由になることがあります。
来客にはゲストWi-Fiを活用
対応ルーターには、普段利用している家庭内ネットワークとは分けて、来客向けのゲストWi-Fiを作成できるものがあります。
ゲスト用ネットワークを利用すれば、来客へ普段使っているWi-Fiの認証情報を直接共有せずに済む場合があります。
また製品によっては、ゲストネットワークから家庭内LAN上の機器へアクセスできないよう制限する機能があります。
家族以外へWi-Fiを提供する機会が多い家庭や店舗・事務所では、ルーター選びの際にゲストネットワーク機能も確認するとよいでしょう。
IoT・スマート家電が増えた家庭のセキュリティ
現在はスマートフォンやPCだけでなく、テレビ、カメラ、スマートスピーカー、照明、エアコンなど、多くの機器が家庭のネットワークへ接続されます。
接続機器が増えるほど、ルーターだけでなく各機器のアップデートやパスワード管理も重要になります。
利用していない古いネットワーク機器を接続したままにしない、各機器の更新情報を確認する、初期パスワードの扱いを確認するなど、ネットワーク全体でセキュリティを考えましょう。
Wi-Fiルーターを交換するときのチェックポイント
ルーターを交換する場合は、通信速度だけでなく回線との互換性やセキュリティ機能も確認しましょう。
- 契約回線・プロバイダーの接続方式に対応しているか
- IPv6・IPv4 over IPv6など必要なサービスに対応しているか
- Wi-Fi 7・6E・6など必要な無線規格に対応しているか
- WPA3など利用したいセキュリティ方式に対応しているか
- ファームウェア更新方法を確認する
- WAN・LANポート速度が回線に合っているか
- 回線事業者の機器と接続するときの動作モードを確認する
- ゲストWi-Fiなど必要な機能があるか
新しいルーターへ交換した際は、古い機器をそのまま放置せず、不要になった設定や接続機器も整理すると管理しやすくなります。
まとめ|回線・ルーター・Wi-Fi・セキュリティを一体で考える
快適なインターネット環境を作るには、Wi-Fiルーターだけを見るのではなく、光回線、ONU、接続方式、IPv6、家庭内LAN、端末まで含めて考えることが重要です。
また、ルーターは家庭のさまざまな機器をインターネットへつなぐ中心的な機器でもあるため、通信性能と同時にセキュリティやファームウェア更新も重要です。
IPv6・IPoEなどの対応状況は回線事業者やサービスによって異なるため、ルーター購入・交換時には契約内容とメーカーの対応情報を確認しましょう。
このページはインターネット回線・IPv6・Wi-Fiセキュリティに関する共通知識として、通信サービスやセキュリティ規格の変化に合わせて更新していきます。
