レーザーの種類で「できる加工」が変わる
レーザー加工機は、どの機種でも同じように加工できるわけではありません。搭載されているレーザーの種類や波長によって、光を吸収しやすい素材が異なり、得意な加工も変わります。
代表的なものにはダイオードレーザー、IR(赤外線)レーザー、ファイバーレーザー、MOPAファイバーレーザーなどがあります。
レーザー加工機を選ぶときは、単純に「何Wだから強い」と比較するのではなく、何を加工したいのか、その素材に適したレーザーなのかを見ることが重要です。
レーザーの「波長」とは?
レーザーには種類ごとに異なる波長があります。簡単に言えば、波長はレーザー光の性質を表す重要な要素のひとつです。
素材によって光を吸収しやすい波長と、吸収しにくい波長があります。そのため、同じ素材でもレーザーの種類によって「よく加工できる」「ほとんど反応しない」といった違いが生まれます。
つまり、レーザー加工では出力だけでなく「レーザーの波長と素材の相性」が重要になります。
※実際の加工可否や仕上がりは、素材の成分、表面処理、色、厚み、レーザー出力、加工設定などによっても変わります。
ダイオードレーザーとは?
ダイオードレーザーは、木材、革、紙などの加工でよく使われるレーザーです。青色系のレーザーが採用されることが多く、レーザー加工機では彫刻だけでなく、機種や素材によっては切断にも利用できます。
木札、革小物、看板、コースター、木製キーホルダー、クラフト作品など、ものづくり用途との相性がよいレーザーです。
一方、金属については素材や表面処理によって加工性が大きく異なります。金属そのものへの細かなマーキングや深い彫刻を目的とする場合は、IRやファイバーレーザーなど別方式が適しているケースがあります。
IR(赤外線)レーザーとは?
IRはInfrared(赤外線)の略です。レーザー加工機では、ダイオードレーザーとは異なる波長を利用することで、金属や一部のプラスチックなどへのマーキング用途に使われます。
たとえばダイオードレーザーだけでは加工しにくい素材でも、IRレーザーならマーキングできる場合があります。
そのため、ダイオードレーザーとIRレーザーを1台に搭載した機種では、木材・革などのクラフト素材から金属・樹脂系素材まで加工対象を広げやすいというメリットがあります。
ファイバーレーザーとは?
ファイバーレーザーは、特に金属へのマーキングや彫刻で活用されるレーザーです。
ステンレス、アルミ、真鍮など、金属を扱う用途との相性がよく、機種や出力、設定によっては表面マーキングだけでなく、より深い彫刻や立体感のある加工に利用されることもあります。
ジュエリー、金属製ネームプレート、工具、部品、アクセサリー、オリジナルグッズなど、金属加工を中心に考える場合に注目したい方式です。
MOPAファイバーレーザーとは?
MOPAはファイバーレーザーの方式のひとつで、パルス幅や周波数などをより柔軟に調整できることが特徴です。
加工条件を細かく調整できるため、金属への精密なマーキング、深彫り、素材や条件によっては色の変化を利用した表現など、幅広い加工に活用できます。
ただし、加工結果は素材や表面状態、設定条件によって大きく変化します。MOPAだから必ず同じ色や仕上がりになるわけではなく、テスト加工と設定調整が重要です。
ダイオード・IR・ファイバーはどれが一番いい?
レーザーに絶対的な「一番」はありません。重要なのは加工したい素材と目的に合ったレーザーを選ぶことです。
- 木材・革・紙などを加工したい:ダイオードレーザーが候補
- 金属や一部樹脂へ細かなマーキングをしたい:IRレーザーが候補
- 金属加工を本格的に行いたい:ファイバーレーザーが候補
- 金属加工でさらに細かな条件調整をしたい:MOPAファイバーレーザーが候補
複数種類のレーザーを搭載する加工機では、素材に合わせてレーザーを使い分けられるため、1台で対応できる仕事や作品の幅を広げられます。
レーザー出力の「W」だけで比較しない
レーザー加工機を見ると「○W」という数字が目立ちますが、異なる種類のレーザーをW数だけで単純比較するのは適切ではありません。
レーザーの種類、波長、スポットサイズ、加工速度、焦点、パルス特性、素材との相性などによって結果が変わるためです。
特にダイオードレーザーとIRレーザー、ファイバーレーザーでは得意分野が異なります。購入時は出力の数字より先に「何を加工したいか」を決めると選びやすくなります。
複数レーザー搭載機が便利な理由
レーザー加工機の中には、異なる種類のレーザーを1台に搭載したモデルがあります。
たとえば、木材や革などを得意とするレーザーと、金属や一部樹脂へのマーキングを得意とするレーザーを組み合わせることで、加工する素材に応じて使い分けられます。
これは、名入れサービス、ハンドメイド、店舗でのカスタマイズ、小ロット制作など、さまざまな素材を扱いたい人にとって大きなメリットです。
機種ごとに搭載されるレーザーの種類・出力・対応素材は異なるため、実際の製品仕様を確認して選びましょう。
まとめ|レーザー選びは「作りたいもの」から逆算する
ダイオード、IR、ファイバー、MOPAには、それぞれ得意な素材や加工があります。
レーザー加工機を選ぶときは、スペック表の数字だけを見るのではなく、「何を作りたいのか」「どんな素材を加工するのか」「彫刻・マーキング・切断・深彫りのどれをしたいのか」から逆算することが大切です。
複数のレーザーを搭載する機種であれば、素材に応じてレーザーを使い分けることで、1台から生み出せる作品やサービスの幅を広げられます。
